SSBジェネレータの試作

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「ビギナーのためのトランシーバー製作入門AM・SSB編」に掲載されているSSBジェネレータ用のプリント基板を入手したのでちょっと作ってみました。

このSSBジェネレータはトランスバーターと組み合わせて最終的には50MHzのSSBトランシーバーを構成します。入出力周波数は11.2735MHzです。この周波数の水晶フィルタはアイテック電子研究所から入手できますが、フィルタ自体が4000円、キャリア用水晶がUSB用とLSB用を併せて1500円とかなり高価です。

11.2735MHzの水晶フィルタはオークションで落札して手持ち3個ほどにあるのですが、キャリア用のUSB用のフィルタ(11.272MHz)は1つしかありません。ナゼか11.275MHzのは一杯あるのですが。このトラの子の水晶を使うのはもったいないので、なんとかこのLSB用の水晶を活用できないかというところがポイントです。

まずは基板上に発振回路部分だけを実装して、11.275MHzの水晶で発振周波数を調べました。すると、周波数微調整用の20pFのトリマーを回しても一番低くて11.2755MHzにしかなりません。上は11.2763MHz程度でしょうか。水晶を1つしかない11.272MHzのものに替えてみても矢張り下が11.2737MHz、上は11.2750MHz程度とどうしても周波数が上へずれてしまいます。そこで奥の手をつかって、水晶に直列に10uHのインダクタを接続しVXO化してみました。すると、11.275MHzの水晶でも10kHzほどの変化幅が得られ、11.272MHzで発振させることができました。安定度等がイマイチ不安ですが、一応これで行こうかと思います。手持ちになかったのですが、10uHは少し大きすぎの感があるので、2.2uH程度のインダクタを入手して付け替えてみようかとも思っています。

(2001/10/7)

このSSBジェネレーターの送信系を実装しました。まず簡単に入力からPCで発生させた正弦波や2トーン、それに手持ちのダイナミックマイクを接続して、出力から変調信号が出てくることをTS-680で聞いて確認しました。まず機能動作は確認できました。なおこの時点ではまだSSBフィルタはいれていません。

ただ、適正なレベルを入力するのがどうすればよいのかがよくわかっていません。この基板はマイクにはコンデンサーマイクを使うのが前提となっていますが、手持ちのダイナミックマイクを使いたいと考えています。「ビギナーのための……」ではダイナミックマイクを使う場合はもう一段マイクアンプを足せばよいと書かれています。

ちょっと調べるために、PCで正弦波を発生させて変調信号を調べてみます。


この波形はPCで発生させた40mVppの1kHz正弦波をマイク入力端子に入力させた時の、平衡変調器(SN16913P)の入力(2番ピン)のものです。だいたい80mVppになっていることがわかります。


これが変調器出力のスペクトラムです。ちなみにこのときはまだSSBフィルタはつけていません。出力レベルが大体-24dBとなっています。


これは変調器に何も入力しない時のスペクトラムです。出力レベルが-44dBとなっており、したがってキャリアサプレッション-20dBとなります。本来この変調器(SN16913)は-40dB程度は抑圧できるはずなので、入力レベルがあと20dBほど増やしてもよいことになります。ホントカナ……。

なお、ローカルレベルを測定するとだいたい120mVppでした。もう少し強い方がよいような気がします。

(2001/10/8)

マイク入力レベルを上げるための2SC1815一段のマイクアンプを追加しました。

これはマイク入力端子に1kHz正弦波を入力した時の入力信号の波形です。だいたい12mVppになっています。

これはそのときのミキサ入力レベルです。約250mVppに増幅されています。したがってマイクアンプ入力→ミキサ入力までのゲインは26dB、CQ-1上のマイクアンプの利得は6dBですから追加したマイクアンプは利得約20dBということになります。

これは追加したマイクアンプにKENWOODのダイナミックマイクをつないで、それに向かって普通に話した時の波形です。だいたい上の波形と同じ位のレベルになっています。

ミキサ出力のスペクトラムですが、入力がないとき出力レベルは-51dBとなっています。このときはミキサ出力はSSB用の水晶フィルタをつないでいます。フィルタ入力に1kΩの抵抗を並列につないでいます。

これがミキサ入力レベルで250mVppの1kHzサイン波を入力した時のミキサ出力です。このときのレベルは-20dBとなっており、キャリア抑圧レベルは約30dBです。

これは無入力時のフィルタ出力です。出力レベルは-62dBとなっています。

これはミキサ入力に250mVppの1kHzサイン波を入力した時のフィルタ出力です。出力レベルは-27dBとなっており、これから計算されるキャリア抑圧レベルは約35dBとなります。また上のフィルタ入り口でのレベルに比べると約7dBほどロスがあることになります。ただしこの測定をしたとき、SSBフィルタの出口はオープンだったので、本当は正しくありません。「ビギナーのための……」ではフィルタ出力に1kΩの抵抗を並列につないでいます。

キャリア抑圧レベルはIC単体で約40dB程度とれるはずなので測定値の30dBはもうひとつです。それとフィルタ出力でのキャリア抑圧レベルは35dBですからフィルタで5dBしか抑圧されていない計算になります。ただ、この測定は随分いい加減にやっているので、おそらく発振回路からキャリアがまわりこんでいるのだと思います。詳しいことはスペアナがないのでよくわかりません。キャリア周波数をもうちょっとちゃんと調整する必要があると思いますが、とりあえずOKということにしました。

(2001/10/14)

次に受信系の部品をすべてはんだ付けしました。オリジナルではデュアルゲートのMOS-FETに3SK59を用いていますが、現在既に入手不能なので変わりに中身が同じでパッケージが異なる3SK73を使いました。ただ、最初ピン配置を間違って理解していて、付け間違えてうまく動きませんでした。イロイロ調べても結局ピン配置はわからなかったのですが、最終的には3SK73を使った基板(ミズホのDC-7)の部品配置図から類推して判明しました。最初3SK77を使ったJA1AYO丹羽氏の雑誌の記事を(同じだろうと思って)参考にしていたのですが、どうもその記事の部品配置図が裏返しだったようです。

受信系の調整はあまりやることがなくて、トランシーバーで11.272MHzの信号を発生させて、Sメーターの振れが最大になるように2つのコイルのコアを調整するだけです。信号が強すぎるのでトランシーバの出力は1W以下に絞ってさらにダミーロードでトランシーバーを終端してやりました。


とりあえずここまでの部分を金属性のお菓子のあまり箱に入れました。真中がメインの基板、左に見えるのがSSBフィルタ、上の小さな基板が追加したマイクアンプです。
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