SGCのSG-2020
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米国SGC社からSG-2020という20W出力のHFトランシーバーが発売されています。米国での価格は$675です。これは国内の代理店で\99,800という比較的低価格で売られています。これをYAHOOのオークションで\42,500で落札しました。
前から欲しくて狙っていたのですが、気に入っていたのは小型であること、デザインが洗練されていること、珍しくて他にあまり使っている人がいなさそうなことです。実際に入手して使ってみた感想をつらつらと書いてみます。
届いたSG-2020は非常にキレイでした。中古としては非常に満足すべき外観です。第一印象ですが、アメリカ製だけあって、作りが頑丈だけどズサンです。本体を取り囲む分厚い金属製の覆いが非常に重いのですが、軍用器みたいでやたら強度がありそうです。ただ、本体と中の基板の立て付けが斜めになっていたりして、いかにも安っぽい作りです。まあいいんですが。
問題点は、21MHz帯以上で定格の20Wが出ない(15W程度)、電源ONの時にバチッという大きな音がスピーカーから出る、電源ON直後の周波数変動が大きい、CWは一応フルブレークインですが、リレーで送受を切りかえるためにやかましい、バンドの移動がめんどくさい、など結構あります。逆に良いところは、小さい、作りが頑丈、PBT(Pass Band Tuning)と可変帯域幅機能がついていて便利、キーヤー内蔵、送信出力の可変がしやすいなどです。日本製に比べると無骨な作りですが余計な機能もなくてまあまあでしょうか。
ただバンド幅の可変はAFアンプでやっているので7MHzのCWなど非常に混信が多いバンドでは用を成しません。コンテストではちょっと使えない感じです。RFゲインとPBTを併用すれば何とかなるかも知れませんがちょっとメンドウです。
(2002-9-1加筆)
出力パワーが出ないことに関してもう少し詳しく調べてみました。出力は1Wから25Wまで1Wおきに設定できますが、25Wのむこう側に"M"というポジションがあり、それがソフトウェア的に最大出力に設定するモードのようです。マニュアルにはこのポジションで10秒以上そうしんするなと書かれています。
周波数 | 出力 |
28.07MHz | 10W |
24.89MHz | 12W |
21.15MHz | 15W |
18.12MHz | 20W |
14.11MHz | 25W |
10.13MHz | 30W |
7.03MHz | 30W |
3.53MHz | 25W |
1.91MHz | 12W |
このように(1.9MHzは除いて)周波数が高くなるほど出力が出なくなります。アンテナ入力端には帯域別に6つのバンドパスフィルタが挿入されていますがそのロスの所為でもなさそうです。6つのバンドパスフィルタの帯域は調べたところ以下のようになっています。これは実際に周波数を変えていってリレーの切り替わる音で判断しています。
バンド | 周波数 |
1 | -2.0086MHz |
2 | 2.0086-4.0056MHz |
3 | 4.0056-7.3072MHz |
4 | 7.3072-14.3620MHz |
5 | 14.3620-21.4568MHz |
6 | 21.4568-MHz |
消費電流を見てみると出力が出ない時は消費電流も下がっているので、この現象から考えてもPA以降のロスが原因ではやはりなさそうです。デバイスの単なる実力なのかなぁ。ちなみにこのSG-2020はシリアル番号はパネル裏面には79658995、電源投入時の表示は8995、ファームウェアのバージョンは1.06ということがわかりました。最新のファームウェアバージョンは1.07のようです。初期のバージョンではCW運用時のチャープ現象やソフトのバグが指摘されていたようですが、幸いにしてこの機種では特に問題はなさそうです。ただし21〜28MHzで最大出力でキーダウンするとチャープが感じられます。
(2002-12-14追加)
結局このSG-2020はオークションで売ってしまいました。あまり稼働率が高くなかったのと、一通り調べて飽きてしまったというのもあります。売った値段と同じ42,500円で引き取られて行きました。
7m1kng@jarl.com