ジャンクのTS-520X
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またまたヤフーのオークションでTS-520Xの不動品を部品取りのつもりで\8,250で落札しました。電源は入りますが、雑音の音は聞こえ、AF GAINをまわすとノイズが大きくなりますから、AF以降は動作しているようですが、正常に動作している様子はありません。後のVFOのコネクタがないのに気付いて別の520のを刺してみたがやっぱり動作しません。ドライブツマミをまわすとノイズレベルは変化するのでRFまで一応動いている感じですが、アンテナを繋いでもどのバンドもなにも(ノイズさえも)聞こえません。21.2MHz付近に一つだけスプリアスみたいのがあるだけです。ヒータースイッチを入れると真空管のヒーターはつくようですが、送信してもプレート電流が流れません。あんまり一生懸命調べても万一直ったら(笑)部品取りに使えないのでやめたました。練習の意味でタバコのヤニで汚れたツマミとフロントパネルを外して掃除しました。
その後VFOを外しました。VFO外しの作業は結構厄介で、フロントパネルを外し、VFOユニットの後側の固定チャネルユニットを外すとようやくVFOのユニットが外れました。
これはVFOユニットを外した状態の520です。
これが外したVFOユニットです。
中央の軸の根元のネジがクリアランス調整用で、このネジを緩めるとツマミが軽くなり、締めると堅くなります。最初かなりゴリゴリして引っかかる感じだったのでこのネジを緩めてみたのですが、そうすると回りは非常に良くなりますが、所々引っかかる場所があり、そこで滑ってしまうようです。この辺非常にシビアです。本当であれば分解してベアリングの様子を見たいところですが、もとに戻す自信がないのでやめました。(ここに520のVFOの分解調整に関して書かれています。)
このVFOは4.9〜5.5MHzを発振するのでそのうち折りをみてこのVFOを使ってトランシーバーでも作ってみたいです。ちなみにこのVFOユニットは電源電圧が9V、RITの制御電圧は実測したところ中央が5.6V、マイナスに回し切ると8.8V、プラスに回し切ると4.0V程度になります。また出力レベルは実測したところ中央値0V、±1.25Vでした。RMSでいうと0.88V(=119dBu)です。
さて、ちょっとTS-520の構成を検討してみます。TS-520は第1IFが8MHz帯、第2IFが3.4MHzのダブルスーパーヘテロダイン方式です。
- 受信系
- 受信した信号は高周波増幅後、次のような局部発振器で8.895MHz〜8.295MHzの第1IFに変換されます。
受信バンド | ヘテロダイン周波数 |
3.5MHz | 12.395MHz |
7MHz | 15.895MHz |
14MHz | 22.895MHz |
21MHz | 29.895MHz |
28.0MHz | 36.895MHz |
28.5MHz | 37.395MHz |
29.1MHz | 37.995MHz |
第1IF信号はバンドパスフィルタを通り、VFOの4.9〜5.5MHzの信号と混合されて第2IFの3.395MHzへ落とされます。そこでIF増幅、狭帯域のIFフィルタ(水晶フィルタ)、もう一度IF増幅を経てダイオードを4つ使った平衡復調器でキャリア周波数を用いて低周波信号へ周波数変換されます。ノイズブランカやAGCはこの第2IF段でかけられます。
モード | キャリア周波数 |
LSB | 3.3935MHz |
USB | 3.3965MHz |
CW | 3.3943MHz |
つまりLSBの場合は第2IFより1.5kHz低い周波数、USBの場合は第2IFより1.5kHz高い周波数、CWの場合は同じく700Hz低い周波数でダウンコンバートされます。
その後低周波増幅4段されスピーカーへ接続されています。
- 送信系
- マイクから入力された信号は低周波増幅3段後、次のキャリア周波数で平衡変調器で第2IFへアップコンバートされます。
モード | キャリア周波数 |
LSB | 3.3935MHz |
USB | 3.3965MHz |
CW | 3.3950MHz |
LSB,USBは受信と同じですが、CWの場合は第2IFと等しい3.395MHzです。
その後受信と共用の3.395MHzの水晶フィルタを経て、IF増幅後、4.9〜5.5MHzのVFOと周波数混合され第1IFの8.895MHz〜8.295MHzへ変換されます。受信と同じように第1IFでバンドパスフィルタリング後受信と同じ周波数のヘテロダイン周波数と混合されRFの周波数が生成されます。その後12AU7Aのドライバーアンプ、S2001Aのパワーアンプを経てπ型ネットワークを通過してアンテナ端子へ出力されます。CWのキーイングはヘテロダイン混合されるミキサーとドライバーアンプをON/OFFすることでおこなわれます。
さてこうやって調べるうちに、このキャリア発振部とSSB用クリスタルフィルターを使えばIFが3.395MHzのSSBトランシーバができると思いつきました。運がよければSSBジェネレーター部も使えるので、これだけで3.4MHzのSSBジェネレーターが作れることになります。こういうことやった人いないのかなぁ?
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