バラックのピコ6基板

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オークションでバラックのピコ6基板を入手しました。ずいぶん持ち主がいじくったみたいで、果たして元に戻るのでしょうか?

このピコ6は型番がMX-6という、一番古いものです。構成は以前作った50MHzSSBトランシーバ(ビギトラ)とほぼ同じでIFが11.2735MHzとなっています。使用している部品もSN16913(だっけ?)等類似しています。

11.2735MHzの大きなクリスタルフィルタが付いているほうの基板がSSBジェネレータ基板、もう片方がトランスバータ基板です。トランスバータ基板の下左に水晶を差す端子があり、2つの水晶を差せるようになっていますが、上側がBチャネル、下側がAチャネルとなっており、上側には標準の50.20〜50.25MHz用の水晶が差さっていました。下側は50.35〜50.45MHz用の水晶と類似した周波数の標準でない水晶が基板の裏側からじかにハンダ付けされていました。


前の所有者はどういう意図かわかりませんが、かなりいじくっています。オークションの時の情報では、
最近まで別のケースに入れて、アンプなど自作の付属回路を取り付けて使っていました。
終段のTrは2SC502にしています。
クリスタルは50.20-50.25用と別の周波数用1個の計2個が付いております。
(別の周波数は確認後に追加説明でお知らせします)

元のケースもありますが,マイクやポリバリコンなど一部ない物もあります。
古いですが,回路図と組み立て説明書があります。

別のクリスタルは50.35-50.40用でした。
ケースの写真を追加しました。
というわけで終段のトランジスタを変更しているあたりかなり不安がありますがどんなもんでしょうか?少し調べたところ2SC502は1W出力程度の50MHzの無線機に使われていたようで、前の所有者は送信出力を上げたかったようです。ちなみにオリジナルは2SC741で出力は250mWです。

とりあえず追加で必要な部品は、20pFの2連ポリバリコンと10kΩの可変抵抗です。両方ともうちに在庫がありましたので、すぐに取り掛かれそうです。


まずはオリジナルで必要な配線とあとから加えられた配線を区別する必要があるので、回路図をにらめっこしながら確認してゆきました。2枚の基板を接続する配線で外されたり追加されたりしているものはなかったようです。

あと、なぜか受信のAF段のアンプと送信のマイクアンプの電源電圧がかからないようにパターンカットしてありました。もしかしてその他の部分は9V以上の電源が必要で、9V以上かけると壊れてしまうところだけ別電源にしているのかもしれません。あまり深く考えずに元に戻しました。受信段のAFアンプ周りはもう一箇所、よくわからない改造がしてありましたが、それも元に戻しました。

そして全体の電源と受信系の電源に9Vを接続し、スピーカーをわに口で接続し、ポリバリコン、10kΩのボリュームも同じようにワニ口で接続して電源をかけてみます。

VRを絞るとブーンというハムノイズが聞こえてきます。VRを上げると次第にサーというノイズが増えてゆきます。というわけで問題なさそう。消費電流は40mA程度でした。

次に、アンテナ線をつなげて受信してみます。すると、ちゃんと受信できるではないですか。意外と簡単(?!)に、とりあえず受信だけはできるようになりました。ちなみに可変周波数範囲は標準の水晶で50.197MHz〜50.247MHzくらいでした。

さて、次は送信です。まずはCWモードになるように配線して、送信側に9Vがかかるようにして電源を入れてみました。すると、なんと、簡単に送信もできました。50Ωで終端した状態にして、別の受信機で聞くとちゃんとキャリアの音が聞こえてきます。安定度もよいです。まあ水晶をつかったVXOなので当然ですが。

次にSSBモードにつなぎ変えてマイクを接続すると……ちゃんと送信もできています。ただし、キャリア漏れがあります。あと送信電力が非常に小さいです。キャリア漏れのほうはIF用の12.272MHzがずれているんですが、本来トリマーコンデンサがある場所に固定のセラミックコンデンサ(22pF)が直付けされています。これも前の持ち主の方が変更したようです。この改造もちょっと解せませんが……。送信電力のほうは、終段のTrを変更していることもあり、ちょっと解決に時間がかかりそうです。

もともとピコ6は凝ったつくりになっていて、CWモードでインターナルのKEY(パネルの前面にある小さなKEY)をつかってCWの送信ができるようになっているのですが、INTのKEYを使うか、EXTのKEYを使うかを後ろのパネルでスイッチで切り替えるようになっており、KEYをINTにするとSSBモードでも非常に小さな電力で送信するような構造になっています。これはつまり、送信系の2段構成の電力増幅器の前段のTrをOFFにするんですが、この状態になっているのかもしれません。KEYの端子をGNDに落とせばこのTrはONになり、送信電力は大きくなるはずなんですが。もちろんKEYの端子はGNDに落としています。ちなみにこのときの消費電流は120mA程度とリーズナブルです。

その後、終段の本来トリマーコンデンサがあるべき箇所に50pFのトリマーをつけて送信電力が最大になるように調整したらだいぶ出力が上がりました。でもまだ、250mWには遠い感じでした。

そしてさらに、その後、終段のトランジスタがオリジナルの2SC741がなぜか2SC502に交換されて、回路も変更されているので、たまたまオークションで2SC741が落札できたので、トランジスタと変更された周辺回路を元に戻しました。この状態でCWで多分出力が50mW程度、消費電流が150〜170mA程度です。オリジナルは送信時消費電流が120mAで、出力250mWですから、まだどこか悪いようです。一応コイル等は最大出力になるように調整しましたが、終段のトリマー以外はそんなに敏感でなくてあまり変わりませんでした。

また、11.272MHzの局発も固定セラミックコンデンサに交換されている部分を50pFのトリマーに交換し、発信周波数を調整しましたが、結局11.2722MHz位までしか下げられませんでした。本来であればもう少し下げて11.2718MHzあたりにしたいところですが。キャリア漏れがこれだけが原因ではないと思いますが、まだだいぶある感じがします。

(2007-7-30追記)

その後、いろいろなリード線(たとえばGNDに落とすとCWになる線や、最終段の一つ手前のデュアルゲートFETの第2ゲートを抵抗を介してGNDに接続する線等)の半田付けを確認してQRPパワーメータのグランドのとり方を変えるとCWモードでほぼ0.2W程度出ていることがわかりました。局発の方は、よく調べるとCWの時に少し周波数を変えています。SSBモードの送信時と受信時は11.2719〜11.2720MHz、CWの送信時に11.2722MHz程度になっていることがわかりました。キャリアリークもアンテナに接続した別のトランシーバーのSメーターで簡易的に測ると、CWの時に比べるとSSB時で-50dBc程度はとれていそうなので、まあこんなもんかな。

このときの消費電流は、受信時に45mA、SSB送信無信号入力時に74mA、CW送信時140mA程度とリーズナブルな数字になりました。まあ、これで正常動作確認かな。

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