アイテックのSR7
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千葉秀明さんのトランシーバー製作入門〜AM/SSB編に載っている、LA1600(サンヨー)を使った7MHzスーパーヘテロダイン受信機を、ずっと前から作りたいと思って、徐々に部品を集めていたのですが、そろそろ本当に作ろうかと思いました。
ここやここで作ったダイレクトコンバージョン受信機は7MHzでは感度は十分だし、再生音がいいので気にいっているのですが、いかんせん夜間の放送波の通り抜けだけはどおにもならず、7MHzの少し上の辺りで韓国や中国の放送が入りはじめると、全く使い物になりません。
この本に載っているスーパーヘテロダイン受信機は、SR7という型番でアイテック電子研究所でキットとして販売されていますが、バラックで作ってみたいと考えています。部品はほぼすべて入手できているのですが、ひとつだけ手に入らないのが8Φのボビンです。サトー電気ではすでに品切れで入手の見込みが立ちません。これについては、一つオークションあたりで探すか、またはインダクタンスを計算してトロイダルコアに巻くという方法が考えられます。後者でもいいのですが、この受信機はVFOの周波数変動にずいぶん気を使った構成になっていて、そのあたりを確認してみたかったので、何とかボビンを入手する方向で考えてみようかと思っています。
http://hanano.jp/hamradio/SR-7.htm
http://je2wya.idou.net/jisaku.htm
この受信機は乾電池2本の3Vで動作するように設計されていますが、AFアンプに使われているNJM2073Dが入手できません。あと、このICはスピーカー出力がBTLのため片側をグランドに落として使うことができません。というわけでAFアンプはこのICではなくて定番のLM386を使おうと思います。
そこで、電源電圧は13.8Vの低電圧電源を仮定して、LM386は電源直、その他はレギュレータを介して3Vに下げて作ろうかと思います。ただ3Vのレギュレータというのも手持ちにないので、5Vでいいかな。BFOとVFOはLEDを定電圧ダイオード代わりにして1.7Vで動作するようになっています。
(2008-1-20追記)
その後、オークションで8Φのボビンをみつけて(5個で1000円でした)ようやくVFO用のコイルが作れるめどが立ったので、作り始めました。
↓これは作りかけの写真です。電源部、AF増幅部、LA1600まわりと、2SK241を使ったVFO回りまでユニバーサル基板に実装したところです。左上に見えるのが左から7MHzのFCZコイル、455kHzのIFトランスとムラタのセラミックフィルタです。セラミックフィルタはユニバーサル基板の間隔と合わないので、無理やり端子を折り曲げて基板の穴の間隔に合わせました。
↓これは発振用コイル付近の拡大写真です。手前のボビンに巻いてあるのが肝心要のコイルです。その右側の2Pの端子台に12pFのセラミックコンデンサを仮付けしていますが、本来はここにポリバリコンが接続されます。まだテスト状態なのでとりあえずキャパシタンスを固定するためにセラコンを取り付けています。
一応ここまでの状態で、VFOのバッファアンプの出口(TP1)に周波数カウンターを接続してみると、7.5MHz付近が出力されていることが確認できました。可変抵抗を接続するところを一時的にショートして、スピーカー端子にスピーカーを接続してアンテナ端子にアンテナをつなげると、サーという雑音が受信されます。ダミーロードで終端したほかの無線機の出力を絞って送信してみると何か受信できていることまでは確認できました。ただ、なんだか弱いな。。今の状態はBFOが無いのですが、単なるAM受信機としては動作するはずです。これでいいのかちょっとわかりませんが、とりあえず先に進むことにします。
……さて、ようやくBFO回路も作って完成しました。下の写真は調整中のものです。なんだか弱かった、という理由は、VFOのバッファアンプ周りの配線を若干間違えていたのが原因とわかりました。とりあえず、アンテナにつないで受信周波数の調整をすると、ちゃんと7MHzの交信が聞こえてきます。ただ、期待していたほど周波数安定度がよくない印象です。ただ、これはちゃんとケースに入れて調整してみないとなんともいえませんが。
以下は覚書。オリジナルからの変更点
- AFアンプはLM386を使い電源直で供給
- LA1600にはレギュレータを介して5Vを供給
- 220pFのスチロールコンデンサは入手できなかったので200pFのスチコンで代用
- 100pFのスチロールコンデンサは入手できなかったので100pFの温度補償セラコンで代用
- BFOの470pFのセラコンは手持ちに無かったので390pFのセラコンで代用
- FETの2SK439は2SK241(GR)で代用(2SK241はラベル面からみたピンアサインが左右反対(左からDSG)なので注意)
- 455kHzのIFTはよく覚えていないがアイテックのものを持っていたらしい(変更点ではないが)
- 共振コイルは8Φのボビンに0.32mmΦのエナメル線を20回巻き(オリジナルは0.35mmΦ)
バラックの状態でこの受信機を聞いてみると、周波数安定度はそこそこあるようです。ただ、裸の状態だと共振回路やバリコン周辺に手を近づけただけで周波数が変動するので、ちょっとわかりません。ただ聞いているうちにどんどん動いていく、ダイレクトコンバージョン受信機第一弾ほどひどくはありません。夕方になってくるとダイレクトコンバージョン受信機は例の放送波の通り抜けでまったく使い物になりませんが、さすがスーパーヘテロダインは全くそんなことがなく、非常に快適です。はやく適当なケースを入手して箱入れしたいものです。
7m1kng@jarl.com