いかれたスペアナの入手

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以前からスペアナが欲しいと思っていたのですが、先日アドバンテストのR4131DNという中古のブツを、ふとした気の迷いで○○万円でオークションで落札してしまいました。出品の説明書きは殆ど情報がなく、ノークレームノーリターンとあり、ちゃんと動作する見込みが全くなく、非常に危険なカケでしたが、誰も入札していなかったので(それがかえって不気味さを増長させるのですが)、終了時刻5秒前に目をつぶって入札してしまったのです。

出品者は非常に愛想が悪く、最初振込みの口座番号を送りつけてきただけで、住所はおろか、名前や連絡先も教えてくれません。非常にイヤ感じです。それでも、まあ入札してしまった以上仕方がありません。指定先に振込み、同時に連絡先を教えてくれるようにお願いしましたが、そうすると、連絡先"だけ"を教えてくるという、ハナからコミュニケーションするつもりのかけらも感じられない酷さです。ただ反応は非常に早かったです。

というわけで不安を抱えながら、荷物が到着したのが落札の2日後でした。


ブツはアドバンテストの正規のアルミケースに入っており、また取説と付属品(電源コード、75ΩのN-BNC変換コネクタ、75ΩのBNC-BNCの短い同軸ケーブル)はちゃんとついており、そういう意味では比較的マトモです。

本体は傷は結構あるものの、まあそれほど酷いわけでもありません。側面と後面に前の持ち主と思われる○○○通信(株)とマジックで書かれています(ちなみにオークションの写真ではこの側面のマジックが見えない角度からの写真しかありませんでした。まあ、こういう悪質な出品者は私は初めてですね)。写真だと随分きれいに見えますが、実際はこんなにきれいではありません。ただ、これでちゃんと動作すれば満足できる程度です。ちゃんと動作すればですが。。

ところでこのスペアナは、入力インピーダンスが75Ω、周波数は〜3.5GHzまで対応しています(本当は50Ωの方がいいに決まっていますが、なんせ入札のときに悩んでいる時間が10分なかったので、あとで後悔しても始まりません)。現役当時定価がいくらだったのかは知りません。ともかく、到着した品物を箱から出して、とりあえずは電源が入るのを確認した後、200MHzのCAL_OUTを入力へ接続します。
心配したとおり、マトモなブツではありませんでした。

CAL OUTの信号がフラフラと上下にふらつきます。これはどこかの局部発振機がロックしていない証拠です。ああ、やっぱりダメか。○○万円ドブに捨ててしまったか・・・がっくり肩を落としてしまいました。やめときゃよかった。。。バカな俺。。。
これが動画(1.75MB)
ただ、これで諦めてしまうわけにはいきません。これからこのスペアナどうしようか、何ヶ月も苦闘した挙句、時間ばかり無駄に費やして、少しばかりスペアナの知識がついて、結局は数万円でオークションに出すことになるのでしょうか。。それともマトモに動作する別のスペアナを買い求めて、スペアナ蟻地獄へまっさかさまでしょうか。

まずは200MHzのキャリブレーション出力がマトモかどうかをまず確かめるのが先決です。そこで、HPのSGに接続して測定してみると、、やはりフラフラと信号がふらつきます。これでキャリブレーション出力のせいではないことが判明しました。がっくり。

次に、先日組み立てたGigaSTを引っ張り出してきて、あれこれ調べてみました。


まずこれは200MHzのCAL_OUT信号です。中心の両側になんだか随分大きなスプリアスが見えますが、周波数は安定していて、問題なさそうです。GigaSTはRBWが狭くしても50kHzなので、もう一つ隔靴掻痒の感は否めませんが、ピークは200MHz丁度を示しています。周波数カウンタで測ってみても200MHzを示すので、おそらくPLLのロックが外れているという感じではありません。ただ、ここの出力にPLLを使っているかどうかは疑問ですが。


次にこれは背面の2ndLOと書かれたSMA出力を測ったものです。取説によると、ここにはトラッキングジェネレータ用の3770MHzのローカル信号が出力されるとあります。これも波形はなんだか汚いように見えますが、周波数は安定しているようです。ピークは3770.34MHzとなっています。340kHzずれていることになります。うーむ。にょきにょきと角のようなスプリアスが出ているのは、PLLのスプリアスのように見えます。流石にこの周波数だとPLLを使っていると思います。


最後が200MHzをゼロスパンにして1stLO出力を測ったものです。これは、ピークが5210.36MHzを示しています。この1stLO出力はスペアナの測定周波数によって変わります。測定周波数が100MHz上に上がると、150MHz上に上がります。どういう周波数関係なのかはよくわかりません。この出力はGigaSTの波形で見ればわかるように、ふらついているように見えます。PLL特有のスプリアスも見られません。どうもこのローカル信号がPLLのロックが外れているような気がします。

いずれにしても、残念ながらまともなスペアナではありませんでした。
http://www.ops.dti.ne.jp/~coredump/content1/index.html
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